栃木の中村信哉さんが第一線を退いたそうだ。しっかりとした言葉を持つ方なので、偉大な経験を後世に残す意味でも、その心と実践を書籍化して欲しいと思う。きっと出版される、と信じて待とう。
印象に残る彼の言葉をいくつか紹介しよう。
中途半端な人間が犬をダメにする。中途半端な優しさもダメ。中途半端な体罰もダメ。何事もバランス。
犬は統一性のない中途半端な人間とは絶対に交わらない。
撫でることに勝る褒美なし。遊ぶことに勝る褒美なし。犬の心をくすぐる声を投げかけられるようになってはじめて一人前。
『この人を見ていたい』と犬に思わせるような雰囲気を醸し出せれば自然と犬はついてくる。ゆえに”脚側行進”も”呼び”も”マテ”も自然と入る。
”遊びの中の訓練” ”訓練の中の遊び”。 『遊びは遊び、訓練は訓練』などと分離してはならない。テンションダダ下がりの犬になる。 訓練士の頭の中では犬とただ遊んでいるだけ、それなのに訓練がみるみる入っていく。
心から『かわいいいやつ』と思えるように犬を変えていく。 犬を変えるために自分を変えていく。 自分が自分でいるために自分を捨てていく。 今の自分を捨てていくことで前に進んでいく。
”自分”に囚われたら犬とは向き合えない。
犬の『こうしたい』という”欲”が、人間の求めるものと合致しなければ、それを犬が好んでする理由はどこにもない。
己の発する言葉と仕事の出来栄えに責任が付きまとう。
中村さん、お疲れさまでした。